こちらを伺うように見ているその娘さんは今度は2浪目を迎える。
「自分は頭が悪い……」
そう思っている生徒はいつだって面談時には自信なさそうにしている。
それが普通だ。
面談で何を言われるか……、まずはそれが恐ろしいのだ。
「え、この成績で○○大学○○学部を目指すの?本当に?」
そう言われて訪れた塾の面談時にそこの塾長に笑われたという生徒だっている。
「あのね、そもそも○○大学は、あなたのこんな成績で……」
一通り説教を受けるという目にあって自信をさらに無くして……。
その塾には断られたけども、
現にうちの塾生としてその後に存在していたので、
笑われたり説教されたりという事実はウソでも何でもない。
しかし、私はそれは同業者として「おかしなこと」だと思う。
今の実力と未来の学力は別物だろうと考えることこそが塾講師のまともな思考だ。
でも、人には先入観や固定観念があるから、
「こんな(今の)学力で、(将来的に)高いレベルの大学に行けるわけないだろう!」
こう思い込んでしまっている先生はたくさんいる、というのも事実だ。
特に学校の先生に多い。
残念だけど。
しかし、それはその先生の今までの経験から来ているので、
あながち大きな間違いではないと思う。
でも、ここは「塾(予備校)」である。
希望をもって勇気を出して、塾(予備校)の門を叩いてきた生徒。
初っぱなから笑って馬鹿にするのはいかがなものか、と思う。
それならば塾(予備校)の真の意味での存在意義もないのではないか?
私はそう思うのだ。
話を戻す。
その娘さんは要するに300点しか取れない学力だったということは事実だ。
それでもやって来た。
お父さんと2人で。
自分の未来を信じて。
お父さんはわが娘の可能性を信じて。
(続く)