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塾長の考え(自立型の指導)③

「先生の授業は本当にわかる!」

 

そう言われて嬉しかった。

 

まだ北斗塾が自立型個別指導ではなく、

集団授業をしていた時代のことだ。

(平成5~7年前半まで)

 

塾講師という生きものは、

 

「授業がわかりやすい!」

 

と生徒に言われると、

 

すぐに有頂天になる。

 

自分(の存在)が認められたような、

 

そんな感情が湧き上がってきて、

 

非常に気持ちがいい。

 

生徒(=子ども)の方は、

 

特に中学生くらいだと単純に、

 

「先生の授業は誰よりもうまい!」

 

と「カンタンに」言うので、

 

当時の私は若かったせいもあって、

 

「そうだろ、そうだろ(笑)」

 

と上機嫌になっていたものだった。

 

 

昔、あるテレビ番組を観ていた時に、

 

お笑い芸人(有名でない)が、

 

「もっとおもろくなりたいっ!!」

 

と頭を抱えて叫んでいる場面を見た。

 

その気持ちが私にはよくわかった。

 

数年前にある本を立ち読みした時に、

 

その時と同じ感情がよみがえった。

 

それはどこかの予備校講師が、

 

共同(2人)で書いた本だったのだが、

 

「もっとわかりやすい授業がしたい!!」

 

と書いてあったからだ。

 

 

お笑い芸人と予備校講師。

 

一見すると違う世界の人間同士だが、

 

共通点は複数の人たちの前に立つこと。

 

そして、

 

「わらわせる」、「わからせる」。

 

そういう結果を得るために、

 

毎日毎日を自己錬磨に費やす。

 

磨いて磨いて、磨きぬく。

 

そういう血のにじむような、

 

努力の結晶のお披露目会が、

 

「舞台」であり「教壇」なのだ。

 

見られる人間の心理は私もわかる。

 

さんざん授業をしてきたからだ。

(平成元年4月~7年8月まで)

 

お笑い芸人だからといって、

全員おもしろいわけではない。

 

予備校講師だからといっても、

全員わかりやすい授業はできない。

 

あたりまえだ。

 

だが、それでも言える。今なら。

 

授業がいかにわかりやすくても、

 

それが生徒の学力向上に、

即つながるわけではない。

 

学力を構築する工程で、

 

「(完全に)理解する」という、

 

認知セクションは必須項目だが、

 

そこの完成度で喜ぶ講師は、

 

生徒のことを1番には考えていない。

 

自分のことを1番に考えている。

 

そういう講師の授業を受けて、

 

問題の解き方を学ぶだけならいいが、

 

もしも個別指導する「講師」だと、

 

物理的にも心理的にも、

 

距離が近いので生徒は影響を受ける。

 

ダイレクト(直接的)に。

 

それでどうなっていくか?

 

 

その講師と同じく、

 

自己承認欲求の強い子どもに、

 

時間をかけて変貌していく。

 

 

(続く)

 

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